日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)

Is'+の視点による人事、キャリア、その他もろもろについての徒然 ver.1

資生堂ショックと女性のキャリア【制度編】

資生堂ショック」を受け、女性活躍推進や
ダイバーシティをテーマにプロジェクトが進められている
クライアントのメンバーの皆さんとディスカッション
する機会がありました。

メディアで紹介されているのは、時短を取得する
女性社員に対し、「働き続けるための優しい制度」から、
「時短でもフルタイムでも、同等に成果を求める」
視点に変化させるというものです。報道では、「女性
社員にたいして冷たい」という論調が多いようです。

私は、至極当たり前の視点になったのだと、理解しました。
「短時間勤務制度」はその他の就労時間を調整できる
制度と同様であり、あくまで「就労時間の変更」をした
だけなはずです。そもそも、もしこの会社が「成果主義
を掲げ、成果で役割や賃金を決めているのなら当たり前
のことです。

“資生堂ショック” 改革のねらいとは|特集まるごと|NHKニュース おはよう日本

 

家庭責任や働く上で制約がある人が働き続けるために
提供するのはあくまで「支援」であって「優遇」ではありません。
「成果を出す人を評価する」のがその企業の考え方であれば
組織の一員である以上は「成果を出す人を相当に評価する」
のは至極当たり前のことでしょう。

私自身は子どもが1歳になる前に、ファイザー㈱に
再就職という形で仕事復帰しました。当時は育児時短制度が
整っておらず、その中で私は自ら契約社員になることを
申し出ました。同僚が夕方6時まで(それ以上)仕事
をする中、私は5時には息子のお迎えに会社を後に
していました。

子どもを授かり、仕事を続ける決意をした時に決めた
ことが1つあります。「週に2回は子どもと夕食をとる」
これだけです。これが継続できないようなら、仕事は
辞めるべきだと思いました。これは今でも継続しています。
これを実現させるには、「週に2回の母親のゴールデン
タイム(私の定義では17:00-21:00くらい)を確保すること」
が私の目的で、それを実現させる働き方を選択させてもらった
ということです。

家に帰って子どもが寝静まってからPCを開け、また
土曜日や日曜日も必要があれば自らの判断で出勤を
していました。
そんな私を「契約社員がそこまでする必要ない」という
人もいましたが、私は自分の仕事をしたかった。
そして、それをやらせてくれた当時の上司や環境に
感謝しています。

契約社員だろうが、正社員だろうが、時短だろうが、
それは「働き方」や「役割」の選択であって、成果
に対する評価には違いがないはずです。
もちろん、時間が短くなった分、役割が変わった分
期待を示し、評価をする際には調整は必要ですが。

時短制度は子育てだけでなく、様々な制約が
ある社員の就労継続を促すための制度です。
ただ、あまりに制度が広がり過ぎた上での課題
が出てきているのも事実です。
事実、ここ数年私が依頼を受ける案件には、
「ここ4-5年で時短社員が急に増え、時短
社員をマネージする管理職向けのプログラム」
そして、
「制度に甘えない女性社員の意識向上のための
プログラム」の依頼がが増えています。

時短制度を「社員を優遇する」ためでなく、
「社員に活躍し続けてもらう、成果を出し続ける」
ためのものにするには、会社側にも、取得する
側にも気を付けるべきポイントがあると
思っています。

会社側:
①現場での実情(労働時間、場所、仕事の役割分担等)、
 時短取得者(現在多くの場合はワーキングマザー)
 の実情を良く把握する。

②時短期間後のキャリアパスを考慮する=
 社員の長期的なキャリアパスを考慮
 (時短期間を終えたワーキングマザーの多くは
 30歳台後半~40歳台、組織ではリーダーになる
 役割が一番大きい)

③時短社員、フルタイム社員、その他の働き方を
 含め、多様な働き方をマネージするための
 マネージャー教育を実施する(チームマネジメント、
 部下マネジメント等)

本人の意思:
①時短を活用して何を実現させることが自分にとって
 一番大事か(目的)を考える。

②上記②にあるように、時短取得後の自身のキャリアを
 考える(多くの人にとって、時短終了後のキャリアの
 方が長い)。

③成果を出すための方法を工夫する(短い時間で
 成果を出すために具体的に仕事の方法を変える、
 抱え込まない、納期を前倒しする等)。

④自分が考える①~③は「自分から」上司に発信
 し、支援やアドバイスをえる。同時に、同僚や
 パートナーにも。


研修やプログラムでは、上記も含めた内容の事例
お伝えし、クラスディスカッションなどを
進めています。他社の事例は参考になりますが、
はやり自分達の仲間である社員が成果を出し続ける
ために、成長実感のある会社員時間を過ごす
ものにするために、各企業での準備と戦略、そして
ちょっと勇気のある実行が必要です。

さて、次回は【意識や意思】について
もう少しお話したいと思います。


長文にお付き合い、ありがとうございました。

 

⇓先週はこの議題で議論盛り上がりました。
小籠包を食べながら(^o^)

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