日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)

Is'+の視点による人事、キャリア、その他もろもろについての徒然 ver.1

嬉しいハンバーグ 

先日、4ケ月間続いた日系メーカーでの
女性リーダー育成プログラムの最終回が行われ、
参加者一人ひとりからの取り組みについてプレゼンテーション
が行われました。

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このプログラムは社内としてはDiversityの浸透を目指し、
管理職層に向けてはDiversityの理解と実践、
女性リーダー層に向けてはキャリアをテーマとし、
この2つの層が同じ期間に、現場で相互に面談を
もちながら進め、最終回で女性リーダーが取り組みを発表します。
発表時には、一緒に参加したメンバーだけでなく、上司、
役員の方々なども参加します。
このプログラムのベースとしているのは自他の感情を理解し、
マネジメントやリーダーシップにいかすEQ(感情知性)です。
参加者全員がEQI(行動特性検査)を受検し
自身の行動特性を理解してからプログラムがスタートします。
”どうありたいか”、”どうありたいか”のゴール設定は本人が
設定し、上司はEQの結果をベースに自身の
マネジメントのスキル向上や自分自身のリーダーシップ開発
を目指し、女性リーダーの方はEQの結果をベースに自分の
ありたいリーダー像に向けて開発を進める方がほとんどです。

一人ひとりが自分のゴールを設定し、4ケ月間開発を
進め、それを一人3分発表していきます。

ある女性が「情緒的表現性」の開発に取り組んだ話を
紹介してくださいました。 
情緒的表現性は、EQIの素養の一つで喜怒哀楽などの感情を
言葉で表す行動の量をスコア化しているものです。
彼女はこの素養を向上させるという目標をかかげ、この4ケ月間
社内だけでなく、家庭でも実践を続けてきたとのこと。

社内では、まだ急激な変化は感じられないが、
「誰かを褒めたり、感謝を伝えよう」と意識
するだけで人を観察するようになった!という成果が
みられ、上司からも意識的な行動があると言葉をもらったと。

そして家庭では、10歳の息子さんを意識的に声をかけた
ことをご紹介下さいました。それまではどうしても
「ダメ出し」が多くなっていたことにも気づき、そして今回
は、ちょっと意識的に声かけをしたとのこと。
EQワークで理解した
「ちょっとポジティブな言葉」と
「ちょっと本人を認める言葉」と
「ちょっと本人が笑顔になる言葉」をかけたと。

「すごいね」「ありがとね」「助かったよ」
「見せて見せて~」「うんうんそれで?」など、
本当にいつもの声かけです、でも少し意識的に
以前よりも多く、ポジティブな声かけを実践しました。

すると先日、これまでに夕食の用意など
手伝うこともなかった息子さんが、
「ぼくがハンバーグをつくるよ!」と全て自分で
準備をし、家族のためにハンバーグをつくってくれた
そうです!

これが本当に嬉しかったと。

何より、お子さんがとても嬉しそうにハンバーグを
作り、達成感に自信がついた様子だったとのこと。
ちょっと笑顔で声をかけたことでこんな変化が生まれる
とは思っていなかったそうです。

「想っている気持ちはあっても、
言動にしないと本人には伝わってない」

これは私自身がEQから学んだことの一つです。
ちょっと恥ずかしくても、
 大切な人は大切って言う、
 いいなと思ったらいいねって伝える、
 嬉しいなと感じたら嬉しい表情をする、
これ、すごーく効きます。

子育てでの成果をしっかりと感じ取り、
今後は本当に成果を出したい「職場」でも
より意図的にがんばりたい!と語った彼女が
とっても印象的でした! 

この企業では女性管理職はまだ一人もいません。いわば、
彼女たちがその第一期生になることが期待されている選抜層です。
これまでは Individual contributor (一人完結型で貢献するとして
成果を出してきた彼女たちですが、これから期待されるのは
周囲を巻きこみチームで成果を出す
Collaborative Leadership(協働型のリーダーシップ)の発揮です。
従来の組織からより柔軟性の高い組織作りで経営を変えて
いくには、役職に関わらず、このリーダーシップを発揮する
ことがキーとなります。人に関わる、巻きこむ、動機づける、
はこれからますます期待され、そして自分自身も笑顔になる
スキルだと確信しています。

来年もこの企業での取り組みは続きます。
数年後にハンバーグの話をしてくださった彼女から
「取り組みを続けると会社だけでなく、家庭でも
いこことあるよ。例えば美味しいハンバーグが食べられる!」
なんて体験談を、後輩の皆さんに話してくださると嬉しいですね。

他にも、この取り組みを「自分ゴト」として捉え、
「自分の言葉」で発表をした方が多かったのが
この企業の女性リーダーの最大の強みでした。
皆さんお疲れ様でした!また来年、お会いしましょう! 

発表日にはステキなイラストがボードに描かれてました!
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