日経セミナーでいただいた質問の2つ目です。
チームの心理的安全性を高め、他者からの反応に怯えたり、羞恥心を
感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出すことができる環境
をつくり、メンバーからの忌憚のない意見をや視点をチーム運営に
活かすには、リーダーの「オープンネス」を高めることが重要という
お話をしました。
■Q2: オープンネスを高めてチームを巻き込んでいく具体的な方法は?
オープンネスは、裏表なく相手に接したり相手に心を開くこと、つまり
自己開示の事です。相手のことを知りたいなら、自分のことを開示する。
これがもっとも分かりやすい原則です。
この当たり前をもう一歩先に進めると、チームとしてメンバーの視点や
意見をより引き出すなら、相手が「隠しておいた方がいいのかも」と
感じていることを自分から話してもらう空気づくりが大切です。
■「言っても得にならない」こと
「計画を立てるのは得意だけど、フォローは苦手で後回し」
になってしまうことを、新任リーダーだった頃の私は言えて
いませんでした。その上、ビジョンや目標も共有できていないまま
に進むプロジェクト途中に、私はメンバーを誰一人巻き込むことなく
どんどん孤立していきます。表面上は取り繕っても、みんなの心が
離れて行っているのを感じとっていました。
もうにっちもさっちもいかなくなった時、
「こんなこと言うのは恥ずかしいけど、フォローすることに
気が回らない」、そうメンバーに話をしたら、
「知っていましたよ。みんなも知ってます。池照さんが必死
だったから言わなかっただけです」と言われてしまったことがあります。
拍子抜けしたというより、なぜ仲間を信じて巻き込めなかったのか、
自分がやればいいとどんなに奢った気持ちでいたのか、そのことが
恥ずかしくなりました。
言えなかった期間があまりに長かったからです。
オープンネスは、”自己開示”のことを指します。
人がもつ情報を得たければ、まずは自分の情報を開示してからという
ものです。でもこれは至極当然な話ですね。
EQで目指すオープンネスは、「言っても特にならない」
「発信することが恥ずかしい」と感じることも含め、開示を
していくことも含まれます。自分の弱さ、不得意を知り、
認めることからスタートし、巻き込むメンバーとともにチームで
解決していくのです。
私はあまりに開示が遅く、結局メンバーを巻き込めたのは
プロジェクトが火を噴き始めた頃になってしまいました。
■「互いを知る」からスタートする
この経験から、私は新しいチームやプロジェクトがスタートする
際には、「互いを知る」時間を必ず取るようにしています。
これまでどんなことをして、
何が好きで、何を大切にしているか、
どんなことが得意で、
これからどんなことをしていきたいと思っているのか、、、、
まずはプロジェクトそのものよりも、
そこに関わる「人」に興味関心をもつことが大切と痛感しているからです。
どんな人にも、得意なことと不得意なことがあり、
どんな人にも、好きなことと嫌いなことがあります。
そしてこれらは時間によっても日々によっても違う。
それを互いに認識すると、互いを補い合うチームが生まれていくのです。
「互いを知る」時間を通し、
互いのことを開示できる心理的な安全性がチームに生まれるからです。
■互いを知る方法
具体的に「互いを知る」方法として、拙著『感情マネジメント』
でも紹介している2つの方法を紹介します。
私自身が様々な組織でプロジェクトをスタートする時に
使っているものです。
①春夏秋冬ワーク(『感情マネジメント』p.172)
一人ひとりの人生の「これまで」と「これから」を
絵で表す簡単なワークです。
短時間で、その方が夢中になってきたこと、
これから夢中になりたいと思っていることが分かり、
毎回とても盛り上がります。
②ムードメーター(『感情マネジメント』p.98)
体力などのエネルギーレベルと
気持ちなどのフィーリングレベルを、
自分自身の主観で測り、点数化し、現在の感情の状態を
可視化(言語化)するツールです。
米国のイェール大学感情知性センターが開発したもので、
自分も含め、相手が”今どのような状態にあるのか”を
互いに知るツールです。
私はミーティングのスタート時に必ずこれを実施してから
ミーティングの本題に入ります。
(参考)Yale大学で紹介されているMoodMeer(RULERという考え方)
RULER — Yale Center for Emotional Intelligence
「巻き込む」とは能動的な行動です。
誰がリーダーだったとしても、まっているだけではメンバーは
自分達のことを話してくれる訳ではありません。
ましてや、自分にとって「損」「不利」と感じられる事柄なら
なおさらでしょう。
誰かにって「損」「不利」も、チームという視点にとってみれば
それは互いに補いあい、「得」にも「利点」になりえます。
「巻き込む」極意の一つは、「私たち:We」を主語にして
視点をもつことです。主語が最初から「私たち」なることで、
自分自身もメンバーも、おのずとチーム単位でプロジェクトを
進めていくようになっていきます。
さて、もう一つ、3つ目の質問は次回のブログでご紹介します♪
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