日々是Is'+ (アイズプラス)

Is'+の視点による人事、キャリア、その他もろもろについての徒然 ver.1

オンライン授業をデザインする

大学の授業も3週目が終了しました。

企業との仕事はほぼ全てがオンラインになっている中ですが、
学校の授業も、オンライン授業も初めての挑戦の中、
私も、TA(Teaching Assistant)の先生方も
ハラハラドキドキの連続です。
今日はこのハラハラドキドキな挑戦、
「オンライン授業」についてご紹介します。

 

■オンラインと対面授業は何パーセントずつですか?

学校の授業がスタートする前に、教員は「シラバス」を作成します。
シラバスとは、講義要項のことで授業計画を学生、学校に向けて
明らかにするためのものです。

学校の授業といえば、以前は「対面」が当たり前でした。
ですが、今回コロナ禍でスタートした授業は、シラバス作成の段階から
「オンラインと対面の授業は何%の割合ですか?」という質問項目が
ありました。

もし、私が大学の授業担当するのが3年前だったら、
この質問はもともとなかったことでしょう。
教員も生徒も登校し、同じ建物の中で授業を受ける、多くの人が
想像する「これまでの学校」のです。
コロナの影響は学校生活を大きく変え、
「いつかITとかで授業受けたりするのかな。そうなる日がくるのかも」
と描いていた未来の学び方が、教員にも生徒にも一気にやってきたのです。

 オンライン授業90%  対面10%
 ただし、感染状況によってはオンライン100%とする 

私の時代とはだいぶ大学授業も変わるんだな、、、と思いながら
シラバスに記載してから約半年間。
私達教員チームは ”はじめての完全オンライン授業”
に向けて、試行錯誤とトライ&エラーな時間を続けています。

 

■EdTechの広がり

コロナによって生じた学校生活の変化は、当初はネガティブ要素が圧倒的でした。
学生達にとっては、「学校に行けない事」が、そして教員にとっては
これまでの教授法や授業コンテンツの「移し替え」が困難であることが大きな
要因です。特に、教師側にとっては、「移し替え」だけでなく、
これまでとは全く異なるプラットフォームから授業をデザインする
必要があり、
 ・新しいプラットフォーム転換への心理的ハードル
 ・限りある時間と人員の中での転換へのプレッシャー
が大きな課題です。

ですが、これはよーく考えてみればかつて私たちの生活が大きく
”馬”に依存していた時、”自動車”というツールが出現した時に似ているかも、、、
なんてことを考えました。

最初は愛着のある”馬”からの転換に抵抗していた人々も、
一度”自動車”の便利さと新たな価値に魅了されていきます。
既存の方法とは別の価値を発揮する新たなツールは、
自分たちが使いこなすことでより新たな価値を生むことが分かるのです。

これまでとは違う価値が、明らかに新しいツールによって生み出された!
私たちにとっては、「学校での学び方」がテクノロジーによって
異なる種類の価値に転換される機会つながったのです。

教育の世界にテクノロジーを取り入れ、教育領域にイノベーションを起こす
ビジネス、サービスなどのことを総称して EdTech と呼びます。
教育のIT化といった機能面を超え、そこに関わる教員と学生、
教育に関わる全てのステークホルダーを巻き込んだ変革が今起こっています。
実は、コロナ以前より日本以外の国ではこのEdTechは急速に進められており、
アメリカ、中国、インドなどでは、大きな市場としてすでに確立されています。

日本でも、実は文科省が2020年までに全ての小中学校で一人一台の
タブレット端末の導入を目指すという指針を出し、
2018年には経産省が「『未来の教室』とEdTech研究会」を立ち上げています。
つまり、意識はあっても他国に比べて後発気味だった日本の教育界は、
コロナによって、いきなりの急速な教育デザインの変革を求められたのです。

それはもう、現場大変です。
大変ですが、新しいツールを使うのは面白い。
試行錯誤の連続ですが、学校の教員として大きな転換を経験できることに
今は感謝しているのです。

 

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資料出所:経済産業省 商務・サービスグループ参考資料(H.30 1月19日)

■数年後には肩を並べる社会人 

・周囲に惑わされず、自分と向き合う時間がもてること
・世界中どこにいる人とも繋がれ、相互に意見交換ができること
・学生が先生とフラットな関係で話ができること 
・自己の学習記録や成果物を見ながら、課題に取り組めること 
などが、私が捉えているEdTechによる学生のメリットです

 

一方、教員側のメリットとしては、
・場所の制約なく、多くの学生とコミュニケーションがとれる
・学生の学びの進捗が記録され、習熟度理解が可能になる
・学生一人ひとりとオンライン上でコミュニケ―ションがとれるようになり、
 学校で「まつ」よりもアプローチがしやすい面がある
・スライド、フォーム、動画、チャット、ジャムボード、フィードバックなど、
 多様なツールを学習目的に合わせて使い分けできる 
などがあげられます。

学生たちは、「学校に行く」日常から「Zoom授業に出る」
への変化をしなやかにという学校生活への変化を、しなやかに
彼らの生活に取り入れています。

そしてかつてのレガシー的な「学校」を引きずってしまう私たち教員に比べ、
この現実を素早く受け入れ適用させる学生たちの柔軟性とスピード感には
脱帽です。今のところ、授業、課題だし、課題提出、フィードバックなど、
私たち教員側がおっかなびっくりトライすることを、学生たちは軽やかに
受け入れ、授業を一つひとつこなしていきます。

この柔軟性とスピード感をもった学生たちは、あと数年後に私たち社会人の
仲間となるのです。「前は良かったよなぁ、みんなで集まってさぁ」を経験せず、
「いつでもどこでも誰とでも、必要な時に必要な人と集まって課題を解決する」
人たちが私たちと一緒に働くことになるのです。

昭和・平成世代の私たちは、新たな価値観をもったEdTech世代と
協働し、新しい価値を生み出せるよう、WorkTech(働き方xテクノロジー
に向けたパラダイム転換が必要ですね。  

人間が生み出したテクノロジーは、柔軟な視点と行動の積み重ねで
人間が使いこなしてこそ活きると感じているここ最近です。 

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