日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)

Is'+の視点による人事、キャリア、その他もろもろについての徒然 ver.1

意味のある「女性リーダーシップ開発プログラム」とは

この記事が発信された 5月8日、私はまさに2つの
「女性リーダーシップ開発プログラム」にどっぷり浸かっていました。

1つは、この前の週に半年間のプログラムの最終日を迎えたもの、
もう一つは、この翌週からスタートする女性リーダープログラムの準備を
進めていたからです。思いっきりタイムリーに流れてきた記事に、
思わず見入ってしまいました。


私はこの10年ほど、主に大手企業向けの「女性リーダーシップ開発プログラム」を
毎年複数企画し、講師としても登壇しています。プログラムは数年にわたって継続
し、各企業の目的や目標を達成して続けています。
だからこそ、この記事で示唆される懸念事項には思わず膝を打ち、
では私たちのプログラムはどうなのか?と考えることができたのです。
よい機会なので振り返ってみました。

■参加者の声 
記事の冒頭にあるように、多くの参加者は「またか」という嘆きとともに
初日を迎えます。戸惑い、憤り、不安、落胆、怒り、焦り、優越感、劣等感、、、
どの組織でも、女性リーダーシップ開発プログラムはネガティブよりな
多様な感情が渦巻いてスタートします。上司や会社との関係性の中で、
・女性というひとくくりにされた一般化された感
・女性のキャリア=両立支援策が必要などの決め付けられ感
・プログラムの意義に納得のいく説明がない中でのやらされ感 
・・・ そんな中からスタートするのです。
ですが、彼女たちの多くが6ケ月後に知識スキルを得た自信、仲間を得た安心感、
自分を認められる肯定感、変化を起こした実感を感じて卒業していきいます。

少しでもポジティブな気持ちで一歩を踏み出している女性がいるなら何が
よかったことなのか、以下は私が各組織の経営陣・企画者と共に重ねている
工夫です。


  • タテ・ヨコ・ナナメの巻き込み
    「上司がいまいちプログラムのことを理解していないみたいです」
    プログラムの参加者から言われた言葉です。上司はだけでなく、残念ながら経営陣がプログラムのことを理解していないケースも見られます。今月スタートしたプログラムでは、経営陣(会長、社長など)、上司、関係部門長、そして受講生を一同に集め、プログラムの大きなねらいであるD&I,E(ダイバーシティインクルージョン、エクイティ)について課題と進捗を共有する時間を持ちました。また、私以外にも経済新聞の記者からこの分野の世の中の流れやトレンドについて話を聴き、後半部分ではワールドカフェ方式で議論する時間をとっています。それまで見えなかったねらい、個人がもつ想いが共有され、少しずつ「本音」が聴かれるようになったキックオフです。プログラム期間中も、経営陣や役員やもちろん、上司や同僚とも関わりをもちながら組織課題をテーマにディスカッションを進める機会を設けています。

    組織的にマイノリティである「女性」をインクルーシブ(多様に包含する)にするためのプログラムであるにも関わらず、プログラム自体の運用がエクスクルーシブ(閉鎖的)なのが課題だったのです。組織をタテ(組織のトップからボトムの巻き込み)、ヨコ(組織の横の関係・同僚同士の巻き込み)、ナナメ(部門をまたいだ巻き込み)にコミュニケーションしながら皆が同じ課題感とゴールを見ることをデザインしています。

 

  • メッセージのスタンスを整える
    「自分に何が足りないのかを明らかにしたいです」
    参加者からよく聞く言葉です。彼女たちは自分になにかが不足しているというメッセージを受け取ってプログラムに来ているのです。女性のリーダーシップが男性より不足するということはありません。もし、あるとすれば、従来の画一的な(男性的な)リーダーシップスタイルが当たり前だった商慣習上で良しとされた「あるべき行動」との相対比較になっていると気づくことが大切です。

    参考資料→

    女性のリーダーシップ能力は総じて男性よりも高い 無意識のバイアスが昇進を妨げている | リーダーシップ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー


    女性だけを集めてプログラムを実施していることは、リーダーシップの不足を補うためというメッセージは本意ではないはずです(少なくとも弊社クライアントとはそう同意しています)。各社のデモグラフィ(組織的状況)をしっかりと分析し、ビジネスの速い変化と多様化への対応と先見のために現在マイノリティである女性のリーダーシップを加速させるため等としっかりと意図をもってメッセージをすることを意識し、言葉の選択とメッセージづくりを意識しています。

 

  • 経営貢献のあるプロジェクトにする
    「このプログラムは業務として扱うものですか?」
    これも参加者から聞かれる質問です。もちろん、プログラムは業務としてしっかりと告知され、業務としてしっかり成果を出すことを期待されるべきです。私が企画するプログラムの多くには、個人の開発の他に「10年後の世界に我が社がどのような貢献できるか」をテーマにプロジェクト活動をスタートさせ、終了時には経営陣に向けてプレゼンテーションします。プロジェクトを業務と切り離されたもの、例えば学生時代の自由研究の発表のようにしないため、以下3つのチェックポイントを設けています。
     1. 経営貢献があるか
     2. 私たちの「らしさ(強み)」はいかせているか
     3. 自分たちがワクワクするようなプロジェクトか

    彼女たちがプログラムを受けている間、他社員や男性社員たちは通常業務を進め、経営に貢献しています。彼女たちが通常業務を離れ、多様なメンバーとともに異なる視座・視野で進めるプロジェクトはどれも貴重な仕事経験になります。私たちのプロジェクトでは、経営陣がプレゼンテーションを聴き、経営貢献を認めれば、プログラム後の実践を実現させることにコミットしています。実際に、プロジェクトの実践を進め実現化させ、社内リワードや社長賞等を取得したものが複数あります。

 

このようなプログラムは、参加者のみならず経営陣、人事やD&I室などの関係部門、
参加者の上司や部門の同僚、そして私のような外部のパートナーなど、多くの
関係者によって進められます。プログラム自体が多様なプロジェクトなのです。
もし、私たちのチームが継続して成果を出していえる秘訣があるなら、
実施→見直し→改善を常に続ける、立場を超えて互いに意見を出し合うからです。
流行りのキーワードに踊らされることなく、しっかりと自分達を理解し、
経営施策の一つとして定義づけて進めることが必須。そのためには、互いに
真剣に意見を出し合い、改善を重ねることを恐れないことが必要です。

先週、プログラムの参加者からメールが届きました。
「最初はなぜ自分がこのプログラムに参加しなければならないのか、
意味が分からずにとても不機嫌な態度をとり続けていたかと思います。
ですが、回が進むにつれて、自分自身から起こした行動によって周囲の
反応がポジティブに変っていきました。恥ずかしながら社会人になって
初めてでした。この変化が、私にとって仕事が意味のあるものに感じる
経験になりました。ありがとうございました」

女性リーダーシップ開発プログラムには、参加者ひとりひとりにとって
自分自身の仕事、選択、あり方が意味のあるものに感じられるようにすること
が目的の一つです。一人ひとりが唯一無二の自らのリーダーシップ認め、
肯定的に捉えていくことが組織の力になっていきます。毎回を振り返り、
話を聴き、次のプログラムに活かしていくサイクルが、事業としての
施策構築の意義につながるのです。

今年も、複数のプログラムがスタートしています。
今後のプログラムも関わる人にとって意味のあるものになるよう、
取り組んで参ります!


先週は女性リーダーシッププログラム実施で名古屋まで。
私の滞在中はずっと晴れてました(晴れ女です☀)

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