日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)

Is'+の視点による”心豊かに働くをデザインする”+もろもろについての徒然 ver.1

気づかれない感情は、ないのと同じ──"資源"としての感情


■「今、どんな感情ですか?」に固まる人たち

先日、ある企業の管理職向けワークショップで「今、どんな感情ですか?」
と聞いたところ、多くの方が一瞬固まりました。「特にないです」「普通です」——
そう答える方が実はとても多いのです。

 感情は、気づいてこそ資源になる

感情は、誰もが生まれながらに持っている個人のリソースです。
嬉しい、悔しい、不安、期待——その一つひとつが、自分が何を大切に
しているかを示すサインです。この「気づく」段階こそが、資源としての感情。
まだ何にも使われていない、ただそこにある力です。


■”気づき”が苦手な私たち

ところが我々は、この「気づき」がとりわけ苦手だと感じています。
私のワークショップでは、チェックインで自分の感情状態・機嫌を
数値と色で表す「ムードメーター*1」を使います。
「あなたの機嫌の状態は?」に対し、数%の方が「わからない」
とおっしゃるのです。ご自身の感情や機嫌を聴いているのに、です。
ですが、これは珍しいことではありません。

特に日本的と言われる「空気を読む」文化の中で育つと、自分の感情より先に、
場の感情や相手の感情を優先する癖がつきます。結果、自分自身の感情には
鈍感になり、
 「疲れているのに気づかない」
 「怒っているのに"大丈夫です"と言ってしまう」
状態が常態化します。
これが続くとどうなるでしょうか?
 ストレスフルな状態が続き、心身に悪影響が出る
 周囲に真意が伝わらず、感情が爆発してしまう など

これは弱さではなく、訓練不足です。
気づき、対応する力は、後天的に鍛えられます。

ストレス心理学者ホブフォルの資源保存理論*2では、
人は心理的な強み・時間・エネルギーといった資源を獲得し、
守り、育てようとする存在だとされています。
感情もまた、この資源の一つとして捉えることができます。

この視点で、私自身の失敗を振り返ってみます。

■ 見過ごした「不安」というサイン

数年前、あるプロジェクトのメンバーだった男性から、
こう言われたことがあります。
「今回のプロジェクト、正直、結構不安なんです」

コンスタントに成果を出すことこそが自分の価値だと信じていた当時の私は、
その「不安」という言葉を、深く聴こうとしませんでした。
「あ、不安なんて誰にでもあるよ。気にしない、気にしない」
そう返して、いつもの彼とは違う様子への違和感を、見なかったこと
にしたのです。

数年後、私は人づてに知ることになります。あのとき彼は、
上司である私が自分の孤独や葛藤に向き合ってくれることはないと、
すでに諦めていたのだと。

気づかれなかった彼の不安は、私にとって「存在しないのと同じ」
ものになっていました。感情は、気づかれて初めて資源になる。
気づかれなければ、どれほど大切なサインでも、なかったことにされて
しまうのです。

これは、私が長年「感情に気づく」ことをしてこなかった人間だったから
こそ起きた出来事です。感情について、聴かれた、話した、着目された経験
がほとんどなく、その必要性を考えたことすらありませんでした。


■チェックリスト:

 あなたの組織は、感情という資源に気づけていますか?

 ・会議で違和感や懸念を安心して言葉にできる
 ・管理職が自分の感情を認識した上で意思決定している

どちらか一つでも「できていない」なら、社員一人ひとりが持つ感情
という資源に、組織としてまだ気づけていない可能性があります。

次回は、この気づいた感情を「資産」に変えるプロセスについてお伝えします。


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