日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)

Is'+の視点による”心豊かに働くをデザインする”+もろもろについての徒然 ver.1

【受賞報告】組織開発の主役は人が動く「現場」へ ー 価値創造を生む「感情資本」の力

いつも私たちの活動を応援いただき、本当にありがとうございます。

この度、大変光栄なことに2026年度
「SMB Excellent企業賞 組織開発コンサルティング部門」を2年連続で
受賞いたしました!私たちの取り組みや思想を素晴らしい形で記事に
していただきましたので、ぜひご一読いただけると嬉しいです。

▼受賞記事はこちらからご覧いただけます
感情は、チームの「かくれた資源」だった。
EQ×チームづくりで、人が自然と力を発揮する組織のつくり方 https://smbexcellentcompany.com/2026/isplus

今回の受賞は、日頃から私たちを信頼し、共に組織づくりに挑んで
くださっているパートナー企業の皆さまの存在があってこそです。
心より感謝申し上げます。

この受賞を機に、ここ数年で私自身が日々の現場で強く感じている
「組織開発の大きな地殻変動」と、これからの組織が向かう未来について、
こちらに綴ってみたいと思います。



■組織開発の起点が「人事」から「現場」へ

これまでの組織開発や人材育成といえば、人事部門が主導し、
全社一貫性あるプログラムや制度を導入していく形が一般的でした。
しかし、ここ数年の変化として、組織開発のご一緒をするカウンターパートが
「人事部門」から「現場部門」へと明確に移り変わってきているのを感じます。
実際に私自身、5年前には人事部門との対話が中心でしたが、ここ数年は
研究所長や製造現場の責任者、医療現場のリーダーから直接ご相談をいただく
機会が増えています。

具体的には、

  • R&D(研究開発)や研究所

  • 最前線の製造現場

  • 一刻を争う医療現場

といった、まさに企業の「価値創造の最前線」にいる部門からの直接の
ご相談が急増しているのです。

この背景には、従来の「上から降ってくる画一的な仕組み」だけでは、
現場が直面している複雑な課題を解決できなくなっているという現実があります。
現場のリーダーやメンバー自身が「いま、目の前にあるリアルな課題」を
一番深く認識しているからこそ、
「自分たちの手で、自分たちの組織を変えていくんだ」という強い当事者意識
が生まれているのです。

■ターゲットは課題解決の先にある「バリューアップ(価値づくり)」

現場主導の組織開発において、何より私自身のワクワクが止まらない理由が
いくつかあります。一つはその目的です。

単に「人間関係の摩擦をなくす」といったマイナスをゼロにするだけの
課題解決にとどまりません。現場視点で課題を徹底的に見つめ直し、そこから
メンバーの可能性を引き出すことで、結果として「より高いバリューアップ
(価値づくり)」を目指すプロジェクトをしかけているからです。

現場がイキイキと動き出すことで、新しい研究テーマが生まれたり、
製造ラインのイノベーションが起きたり、医療の質が向上したりする。
人事・組織の課題解決が、そのままビジネスの価値そのものを高めていく
プロセスに、継続的なパートナーとして伴走させていただけることは、
人と組織に関わる私たちにとっても、最大のバリューです。

そしてもう一つが、感情を軸とした経営への揺さぶりです。
現場の価値創造力を左右するのはスキルや制度だけではなく、
「感情」「信頼」「心理的安全性」「対話」といった見えにくい資源だと
実感しています。私たちはこれを『感情資本』と呼び、「感情」を、
変化を創り出す源泉と捉えて組織デザインに組み込んでいるのです。


■「現場の気づき」が経営と制度を動かす、嬉しい循環

さらに最近、もう一つの「嬉しい変化」の兆しを感じています。
それは、【現場での気づきや変化が、経営陣を動かし、制度設計や改定
へと逆流していく流れ】ができつつあることです。

現場から始まった小さなボトムアップの組織開発が、確かな成果や
エンゲージメントの向上として目に見えるようになると、経営層もその
価値を無視できなくなります。「この現場の成功事例を、どう全社に広げるか」
「この躍動感を支えるために、人事制度をどうアップデートすべきか」という
議論が自然と巻き起こるのです。

「制度があるから人が動く」のではなく、「現場で人が輝いているから、
それを支える制度が作られる」。このオーガニックで血の通った循環こそが、
これからの時代に求められる個を活かす「人的資本経営」であり、「感情資本」
の活かし方ではないでしょうか。

一緒に走る

今回の受賞は、私たちが信じて進んできた「現場起点の組織開発」
というアプローチへの、大きなエールだと受け止めています。

私たちはこれからも「人を変える組織開発」ではなく、
「人が自然と力を発揮できる場づくり」に挑み続けます。

その起点は人事でも制度でもなく、現場にいる一人ひとりの感情です。
感情資本が価値創造を生み出す社会へ。
アイズプラスはこれからも、その伴走者であり続けたいと思います。

関わって下さるクライアント、パートナーの皆さまに、
心からの感謝を申し上げます。これからも最高の伴走者として、
たくさんの「価値づくり」を共に生み出していけるよう、
さらに邁進してまいります。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!



新しいプロジェクトがスタートする度に神社に
挨拶にいきます。最近は昼間の時間がとれずに夜に
うかがうことが多くなりました⛩
ここにくると、凛とした気持ちになれます。
@鎌倉鶴岡八幡宮





体験型チームビルディング『Cocoro Quest』ーAIが「答え」を出す時代に、チームの「ココロ」を取り戻す

今年度からスタートした新プログラム『Cocoro Quest』は、
更なる進化に向けて協働パートナーのインバイトジャパンチームとの
会議が進んでいます。
以下、レポートまとめました!遅くなってスミマセン💦

■AIが加速するほど、EQの価値は高まっていく

世界経済フォーラム(WEF)が発表した『Future of Jobs Report 2025』に、
私がずっと現場で感じてきたことを裏づける一文があります。

「自動化がルーティン業務を引き受けていくほど、
批判的思考・創造性・感情知性(EQ)といったソフトスキルへの
需要は高まっていく」

しかも同レポートは、リーダーシップや創造的思考、そして感情知性を
「AIに代替されにくいスキル」として明確に位置づけています。
理由はシンプルで、これらが複雑な対人関係と"共感"を必要とする、本
質的に人間的な力
だからです。

つまり——AIに任せられることが増えるほど、私たち人間に残されるのは
「人と組織を動かす力」になっていく。 これは脅威ではなく、むしろ希望だ
と私は思っています。効率化のその先で、私たちはようやく
「人にしかできないこと」に集中できるのですから。

今回はその「人にしかできないこと」を、頭ではなく
身体と感情でまるごと体験するプログラム——某大手メーカー様で実施した
体験型チームビルディング『Cocoro Quest(ココロクエスト)』の様子を、
参加者61名のリアルな声とともにお届けします。

■『Cocoro Quest』とは?ー 「EQの学び」x「体験型謎解き」

一言でいえば、「EQの学び」と「体験型の謎解き」を掛け合わせた、
まったく新しいチーム開発プログラム
です。

当日はまず、事前アセスメントで一人ひとりのEQ(感情知性)を"見える化"します。
そのうえで、非日常の「謎解きゲーム」にチームで挑戦していただく。
ゲームを通じて感情のメカニズムを整理し、「信頼で動くチームづくり」を
実践的に体感していただくのが狙いです。

プログラムの中で回していくのは、こんな"体験 → 気づき → 振り返り"の
サイクルです。

  • 挑戦(Challenge):難易度の高い謎に、チームで立ち向かう
  • 混乱(Confusion):一筋縄ではいかない状況で、感情が揺れ動く
  • 発見(Discovery):対話を通じて、突破口とお互いの特徴を見つける
  • 共感(Empathy):心理的安全性を土台に、相手の気持ちを察し、受け入れる
  • 協創(Co-creation):それぞれの強みを掛け合わせ、チームの力で成果を生み出す

注目していただきたいのは、「混乱」を避けずに、あえてくぐり抜ける設計に
なっていること。感情が揺れる瞬間こそ、EQが育つ瞬間だからです。

「こんな顔、久しぶりに見た」ー現場で生まれた感動

プログラムの最中、ある参加者の方が、興奮を隠せない様子で私に
こう声をかけてくださいました。

「メンバーがこんなに夢中になって取り組む顔、久しぶりに見ました。
いい仲間だって、あらためて感じています」

この一言に、すべてが詰まっていると感じました。

日々の業務では、どうしても画面越しのやり取りや、効率的なタスクの受け渡しに
終始してしまう。仲間の「感情」や「熱量」に触れる機会が、知らないうちに
減ってしまっているのかもしれません。

AIが答えを瞬時に出してくれる時代だからこそ、人間がわざわざ同じ場所に
集まり、時に「ぶつかり合い(混乱)」し、知恵を絞り合って「発見」へと
たどり着くプロセスそのものに、価値がある。

このプログラムは、AI時代だからこそ埋もれがちな「人の共創力・協働力・共感力」
を、もう一度強く呼び覚ます力を持っている!参加者の皆さまの生き生きとした
表情を前に、私はあらためてそう確信しました。

■参加者61名のリアルな声:アンケート結果

プログラム終了後、参加した61名全員から回答をいただきました(回答率100%)
そして、すべての評価項目で約80%の方が「そう思う」「非常にそう思う」と
回答してくださる、とても熱量の高い結果となりました。

📊 4つの評価指標(5段階評価)からの気づき

特に高い評価をいただいたのが、プログラム全体への満足度と、
「EQへの理解が深まった」という項目です。

頭で理解する座学ではなく、謎解きという"リアルな体験"を通すことで、
EQの概念が直感的に腹落ちしたという声を多くいただきました。

さらに
・チーム内の信頼関係や協力体制に、ポジティブな変化を感じた
・今日の気づきは、明日からの実際の業務に活かせる
という項目にも多くの共感が集まりました。
単発のイベントで終わらない、確かな手応え
感じていただけたのだと感じています。

📝 受講者の生の声(一部抜粋)

自己理解・"チームで考える"価値への気づき

  • 「プログラムを通して、自分のEQが理解できた」
  • 「一人の解決策では限界を感じた。多角的に考えるには、チームの力が必要だ」
  • 「メンバーのモチベーションを、第一に考えることができた」

プログラム内容・体験への評価

  • 「難易度がちょうどよく高かったので、飽きずに取り組めた」
  • 「意識せず、自然に協力できる内容だった。全員参加型で、チームワークに役立った」
  • 「仕事で得られるものとは違う刺激があって、楽しめた」

一部の方からは、「EQと謎解きの関係性を、もっと深く理解したかった」
「理論(座学)の部分がもう少しあってもよかった」という、
学びへの意欲の高さが伝わる前向きなご提案もいただきました。
こうした声こそ、私たちが次に活かしていく宝物です。

■明日から実践する「小さな一歩」

ワークショップのゴールは、意識が変わることではありません。
「行動が変わること」です。

受講者の皆さまからは、明日からの業務に活かす、具体的で
ポジティブなアクションを宣言していただきました。

  • 他者理解・対話を増やす
    周りの考えを理解しようと思う
    他人への興味・関心を持つ
  • 視野を広げ、柔軟に考える
    多面的な見方を心がける
    一歩引いて、全体を見渡してみる
  • 発信し、チームへの関わりを強める
    自分の考えや思いを、言葉にして正しく伝える
    発信を増やす(毎回の会議で必ず1つ)
  • 目標と行動の意識を高める
    ありたい姿を意識する
    ゴールの姿を丁寧に共有する

ありたい姿を意識する」という宣言が出てきたことが、
私はとても嬉しかった。EQ開発の出発点は、いつだって「自分はどうありたいか」
を知ることから始まるから。


■EQxチーム作りの可能性

『Cocoro Quest』を終えて、私はあらためて確信しています。
EQ×チームづくりには、まだ大きな可能性が眠っている、と。

Microsoft社が発表した『Work Trend Index 2025』は、これからの組織に
鋭い問いを投げかけています。「どの業務を完全に自動化し、
どこで"人とAIの協働"が突出した価値を生むのか。顧客が"人の手"を
期待するのはどこで、高リスクな判断に人の知恵が欠かせないのはどこか」
その見極めこそが、これからのリーダーに求められる仕事だというのです。

裏を返せば、AIに任せられる領域が増えるほど、
「人が集まり、感情を分かち合い、信頼で動く」時間の"密度"が、
組織の競争力を左右していくということ。私たちが現場で目にした、
夢中になる顔、自然に声を掛け合う姿、お互いの強みを引き出し合う姿は、
まさにその競争力の源泉そのものでした。

スキルの総和を超えて成果を生み出すのは、「信頼の掛け算」です。
一人ひとりの力をただ足し合わせるのではなく、信頼でつなぎ、掛け合わせる。
その瞬間に、チームは個人の総和をはるかに超えていきます。そしてその
"掛け算"を支える土台こそが、相手の感情を察し、受け止め、自分の思いを
言葉にする——これがEQの力なのだと、私は考えています。

だからこそ私たちは、このプログラムを"完成形"だとは思っていません。
体験から得る直感的な腹落ちと、理論による裏づけ。その両輪をさらに磨き
皆さまの現場で本当に役立つプログラムへと、これからも進化させ続けていきます。

もし、あなたのチームでも"あの夢中になる顔"を取り戻したい、
EQ×チームづくりに関心があるという方がいらっしゃいましたら、
どうぞお気軽にアイズプラス、またはインバイトジャパンまでお声がけください。
一緒に、人が主役のチームを育てていけることを、心から楽しみにしています。

ご参加いただいた某大手メーカーの皆さま、
そしてここまで読んでくださったあなたに、心からの感謝を込めて。

アイズプラス  

株式会社アイズプラス


インバイトジャパン

バイリンガル対応のチームビルディング研修 | インバイトジャパン株式会社




インバイトジャパン大槻さんxアイズプラス池照
これからも新たなプログラム開発を続けていきます








「これまで」の感情に光をあて、「これから」の偶然を味方にする——ありたい未来の描き方

■ライフラインチャートに描く「これまで」

毎年鎌倉を美しく彩る紫陽花の季節に入ってきました。

先週は「ウェルビーイングDays」にて一般の参加者の皆様向けに、
そして今週は長年ご一緒させていただいている法律事務所の若手弁護士
の皆様に向けた連続プログラムの「EQ×キャリア」ワークショップの
登壇でした 

対象となる方々の環境はそれぞれ異なりますが、両方のプログラムで
共通して取り入れた大切なワークがあります。
これまでの人生を「感情」とともに振り返る「ライフラインチャート」です

多くの人は、自分のキャリアを
「転職した」「昇進した」「ライフイベントがあった」
というように、目に見える“出来事の連続”として捉えがちです
しかし、EQ(感情知性)的な視点で見ると、少し異なる景色が
浮かび上がってきます

私たちの人生は、ただ出来事が勝手に起きているのではありません
「感情」が動き、それによって何かを選択した結果が、
次のアクションや出来事へと繋がっているのです

例えば、「転職したからキャリアが好転した」のではなく
「『このままの環境じゃ嫌だ!』という強い感情が湧き起こったからこそ、
転職という一歩を選び取った」ということ
このように感情を起点にして過去を紐解くと、「なぜあの時、あの決断をしたのか」
が驚くほど腑に落ち、自分らしいキャリアへの納得感が生まれます


■「あるべき」に囚われていた、かつての自分

今でこそ、私は「感情マネジメント」や「EQ」をベースにした
キャリア構築を、今でこそ自信をもってお伝えしていますが、実は私自身、
かつては自分の感情にカチッと蓋をして生きていた一人でした

親からの期待や、世間一般的な「こうあるべき」「普通はこうするもの」
という枠組みを最優先し、自分の中の「本当はどうしたい?」
という小さなワクワクや違和感(感情)を完全に無視して選択を続けていた
時期があったのです。

誰かの正解を生きることは、思考や感情を放棄している状態した。
けれど、自分の感情を置き去りにした選択の先には、いつもどこか
満たされない感覚や、理由のない息苦しさがありました。

「自分自身の感情に耳を傾け、それを羅針盤にしていいんだ」

そのことに気づき、自分を解放できた時の感動と安心感こそが、
今、私がこうして皆さんとワークショップをご一緒させていただいて
いる原動力そのものになっています

 

■偶然を味方にする「5つの感性」

ワークショップでは、過去の感情パターンを理解した上で、
未来の「ありたい姿」を描き、それを手繰り寄せるための
「計画された偶発性(プランドハプンタンス理論)*1」も学びます

キャリアの8割は予期せぬ出来事で決まると言われますが、
その偶然をただ待つのではなく、自らチャンスに変えていくためには、
次の5つの感性(スキル)が鍵となります

  • 好奇心:新しい学習の機会を模索し続ける

  • 持続性:壁にぶつかってもあきらめずに取り組む

  • 柔軟性:状況の変化に合わせて自分をアップデートする

  • 楽観性:偶然の出来事を「チャンス」として意味づける

  • 冒険心(リスクテイク):結果が不確かでも一歩踏み出す

壁にぶつかった時の『不安』をどう扱うか、
不確かな変化への『恐れ』をどう手放すか。これらもすべて、
ベースにあるのは感情マネジメントです
自分の心や行動のクセを知り、日常の小さな選択を変えていくことで、
驚くほど素敵な偶然があなたの未来に舞い込み始めます


■なりたかった自分がいた!

参加された皆様からは、

  • ライフラインチャートに『感情』を入れて振り返ったのは初めてで
    新鮮だった。感情起点の方が納得感がある
  • 自分を客観視して誰かに話すことで、とても前向きになれた
  • 感情をベースに振り返ったら「なりたかった自分」と会えた気がする

といった嬉しいコメントをたくさんいただきました。

イギリスの作家ジョージ・エリオットは、こんな言葉を残しています。

「なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない」

これまでの人生を愛おしみ、これから出会う偶然をすべて味方にするために。
まずは今日、あなたの心が「何にワクワクし、何に違和感を抱いているか」、
その声にそっと耳を傾けることから始めてみませんか?


皆さんの「ありたい姿」に向かうキャリア・人生デザインを、
これからも心から応援しています


今年のウェルビーイングデイズご参加者の皆さんと!



若者の「感情リテラシー欠如」をどう救うか? 心を動かす「1分瞑想」の力

■自分の「感情」がわからない?

先日、ネットである記事を目にし、激しいショックを受けると同時に、
いち社会人として、親として、そして教員として課題感を抱きました。

最近起きた痛ましい事件の背景にある、若者たちの「感情リテラシーの欠如」
を指摘した内容でした。「自分が今、どんな感情なのかわからない」
「相手がどう感じるか想像できない」――そんな感情の不全が、
取り返しのつかない残虐な結末を招いてしまうという警告です。

この指摘は、私にとって決して他人事ではありません。
なぜなら私は、現在短期大学の教員として、「美道プロジェクト」
という授業の中で、EQ(感情知性)を必修科目として教えているからです。
おそらく、日本の高等教育においてEQをこれほど本格的に授業へ取り入れているのは、先駆的な取り組みかと自負しています。

■「自分の気持ちなのに、正解を求めてしまう」学生たち

授業の最初には、必ず「Moodmeter(ムードメーター)」をチェックインで使います。
MoodmeterはYale大学の感情研究から生まれたツールであり、今の自分の感情状態
(エネルギーと心の快適度)をチェックインして発信してもらうことから始めます。

ところが、毎年1年生の最初の授業の2〜3週間は、学生たちからある決まった質問
が飛んできます。 「先生、わかりません」「何が正解ですか?」と。

これ、すごく不思議だと思いませんか?
私が聴いているのは、教科書の知識でも、他人の意見でもなく、
「あなた自身の今の感情」なのです。それなのに、誰かが決めた「正解」を
探そうとしてしまう。それほどまでに今の若者たちは、自分の心の内側に目を向け、
その状態を言葉にするという経験が少ないのかもしれません。
または「学校」という場では、先生が正解をもっていると思っているのかも。
自分の感情を捉えるセンサーに、眠らせてしまっているような状態です。

■「1分間の瞑想」がもたらす言語化の変化

しかし、毎週の授業でMoodmeterを使い続け、EQの理論と実践を学んでいくと、
学生たちは少しずつ変わり始めます。「ここでは自分の発信を誰も否定しない。
格好をつける必要も、正解を出す必要もないんだ」と気づき、自分の感情状態を
正直に発信できるようになっていくのです。
「青(エネルギーが低く不快)」の日があってもいい(実際は1限の授業は
これば一番多いです)」それを自分で認め、開示できること自体が大きな進歩です。

さらに、2年生に進級すると、授業のテーマは「EQをベースとした協働プロジェクト(人と関わり、チームで成果を出す)」へとステップアップします。2年生になってから
のチェックインでも同じようにMoodmeterを使いますが、ここでは少し工夫を加えています。自分の色を選択する前に、必ず「1分間の瞑想(センタリング)」を取り入れるようにしたのです。

たった1分間、静かに目を閉じて自分の心と体に焦点を当てる。 ただそれだけで、
学生たちから溢れ出る「感情の言語化の量」が劇的に増えました。「なんとなく」という曖昧な表現ではなく、「今日は○○のテストがあるけど上手くできなくて憂鬱」
「週末に友達とディズニーいくのでワクワクしてる」「就活の面接で・・・ドキドキ」といった、自己観察を経た言葉が少しずつ発せられるようになるのです。

■感情を知ることは、自分と他者を守ること

自分の感情を認識できる(=感情リテラシーがある)ということは、自分の心の暴走を止め、相手を思いやるための「ブレーキとハンドル」を手に入れるのと同じです。
自分の感情がわからないままだからこそ、コントロールを失い、冒頭の記事にあるよ
うな事件に突き進んでしまうのではないでしょうか。

出来るだけ若いうちから自分の心と丁寧に向き合う教育が、今どれほど社会に求めら
れているかを痛感しています。

山野美容芸術短期大学の「美道プロジェクト」が蒔いているEQの種が、
学生たちのこれからの人生、そして周囲との豊かな「カカワリカタ」を
支える土台になると信じています。これからもこの大切な授業を、使命と
情熱を持って届けていきたいと思います。

感情を学ぶことは、「自分を生きること」に直結します。
そしてそれは、10代でも、20代でも、50代でも、いつからでも遅くない。

自分と大切な人に聴いてください「あなたは今、どんな気持ち?」と。

 

👉MoodMeterに関連する記事をまとめています

https://is-plus.jp/news/article/fVaaddtD


👉山野美容芸術短期大学 美道プロジェクト 

www.yamano.ac.jp


こちらは鎌倉市役所研修でのムードメーター↓

 



なぜ優秀な人ほど、人生に迷うのか?【人生をデザインする Designing Your Life連載】

毎年、複数の企業の「選抜研修」に関わっています。
該当企業の方々と、弊社パートナーとで企画に入り、
デリバリーを私中心に一貫して担当するプログラムです。

「選抜」ですから、各社で優秀と認められた方々が集まります。
実際、プログラムを修了した方の95%が管理職以上に昇格し、
それぞれの場所で活躍されています。ありがたいことに、
終了後もお付き合いが続く方が多く、なかには毎年鎌倉へ
「遠足」に来てくれるチームも!
遠方からわざわざ顔を見せてくれるたびに、本当に嬉しくなります。

そんな「優秀な人たち」の悩みのトップが——キャリアだったりするのです。

「評価はしてもらっている。でも、これが自分の人生かと問われると……」
「上に行けば行くほど、何のために頑張るのかがわからなくなってきた」

毎年のように、似たような言葉が出てきます。最初は正直、驚きました。
でも何年も聞くうちに、「そうだよね」と自然にうなずき、そこにいる皆と
一緒に考えるる自分がいます。
そしてデザイン思考を学んだ今、その理由もはっきりとわかります。

 

■ 優秀な人は「問題を解くプロ」だから迷う

優秀とされてきた人たちは、長年こんな訓練を積んできました。

・問題が与えられる
・正しく分析する
・最適な答えを出す

これは本物の能力であり、現場力です。ですが、
人生設計には、誰も問題も、ましてや正解も用意してくれません。

デザイン思考に「Wicked Problem(やっかいな問題)」という概念があります。
答えが一つではなく、問い自体を自分で定義しなければならない課題のこと。
キャリアも、人生も、まさにこれです。優秀な人ほど、この
「問題文も正解もない問題」に戸惑う。それは能力の問題ではなく、
これまで使ってきたツールが違うということなのです。

 

■ 分析力が、「動かない理由」を精緻にする

Designing Your Lifeには「Anchor Problem(錨問題)」という言葉が出てきます。
本当は変えられるのに「変えられない」と思い込んでいること。
前回ご紹介したDysfunctional Beliefs(思い込み)の一種です。

「この年齢では遅すぎる」「今さらリスクは取れない」など、
優秀な人ほど、こうした思い込みを論理的に証明できてしまいます。
分析力があるからこそ、動かない理由が精緻に積み上がっていく。
頭の中で「変われない」証明が完成してしまうのです。

 

■ 人生は「考えて」ではなく、「試して」前に進む

Designing Your Lifeの提唱者、ビル・バーネット教授はこう言います。

「デザイナーは考えることで前に進むのではなく、作ることで前に進む

「完璧な計画」より「小さな実験」。この発想の転換こそが、優秀な人が
最も難しいと感じる部分です。EQの視点を加えると、もう一つ。
長年「外の評価軸」で生きてきた方ほど、
自分の内側の声——何を感じ、何を本当に望んでいるか——を聞く練習が少ない
傾向があります。でも、人生設計に必要なデータは、スプレッドシートではなく
自分の感情と思考の中にある。

鎌倉に「遠足」に来てくれる方々と毎年話すたびに、私はそう確信します。
迷えるのは、深く考えられる人の特権。あとは、使うツールを少し変えるだけです。

 

■ スタンフォード発のワークショップ ご案内

この体験を、6月20日・鎌倉で開催します。
特にこんな方に来てほしいと思っています:

・成果はあるのに、なぜかモヤモヤしている方
・「次の一手」を考えすぎて、動けなくなっている方
・コーチング・人材育成に携わりながら、自分自身も見つめ直したい方


▼詳細・お申し込み(Peatix)
https://dyljapan20260620.peatix.com/

▼プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000047852.html

 

 

 



嫉妬は、お坊様だって止められない——アイズプラス20周年記念講演会(ブログその2)

前回(第1弾)では、
高野登さんの言葉から「ホスピタリティ」と「自分という存在は環境である」
というテーマをお届けしました。

今回は、会場がいちばんざわめいたテーマです。

嫉妬も妬みも、止めようとしなくていい

高野さんがさらりとおっしゃった言葉が、会場の空気を一変させました。

「嫉妬は、修行を積んだお坊様でも、死ぬまでコントロールできない感情です」

嫉妬や妬みは、修行を積んでも消えない。だったら「良くない感情だ」
と抑え込もうとするのではなく、「あ、今すごく嫉妬してる」と
そのまま受け入れてしまう
。受け入れることでしか、扱えない感情がある、
と理解する。

嫉妬はダメ、妬みは恥ずかしい——
そういう「感情の抑圧」を、一気に手放させてくれるような瞬間でした。

孤独も、羨ましさも、言えなかった——企業トップのコーチング現場から

この話を聞きながら、私は自分のコーチングの現場を思い出していました。

私は継続的に企業トップのEQベースのコーチングを担当していますが、
これも組織のチームづくりだと捉えています。コーチングの際には、
トップ本人だけでなく、同僚層・部下層・影響が及ぶ関係者にも必ず
ヒアリングや面談をします。トップの意識と行動が変わるためには、
まわりの人々の受け止めや関係性そのものが、大きな影響力を持つからです。

よく見られる課題のパターンがあります。

「部下と話が通じない」
「いつの間にか自分が話し続けて、みんなが従うだけになっている」
「時々イライラが爆発してしまう」——。

こうした悩みを抱えるトップのまわりにいる部下や同僚に、時間をかけて
信頼を得ながらヒアリングを重ねていくと、ある言葉が繰り返し出てきます。

「あ、自分は孤独を感じていたんだ。羨ましさや悔しさもあった。
でもそれを、認めることができていなかった。相手にも話せていなかった」

感情が、ずっと封印されていたのです。

そしてトップ自身との対話の中では、こんな問いかけをするようにしています。
「今、メンバーはどんな気持ちでいると思いますか?」
「あなた自身は、今どんな感情の中にいますか?」

やること(To Do)だけを追いかけるのをいったん止めて、
そこにいる人間の感情の状態(To Be)を受け止めること。

それを習慣にしたトップのチームは、目に見えて変わっていきます。
会議の空気が変わる。誰かが本音を言い始める。そして少しずつ、
感情を扱えるチームになっていくのです。

■感情をシェアできるチームは、強い

高野さんの言葉と、現場での実感は、同じことを指していると思っています。
嫉妬も、孤独も、悔しさも
「ある」と認めることからしか、チームは動き出さない。

感情を「プロとして振る舞うこと」で封印し続けたチームは、ある日突然、
見えないところで亀裂が走ります。逆に、ネガティブな感情を安全にシェア
できる文化があるチームは、その感情をエネルギーに変えていける。

EQの観点から言えば、これは「感情認識」と「感情活用」の話です。
自分の感情にまず気づき、それをチームの中で扱える文化をつくること、
それが一人一人に向けたホスピタリティあふれるチームの土台です。

■「いい話を聴く」だけで終わらせない——この場でも、チームが生まれた

実はこの日、もうひとつ嬉しいことがありました。

EQ学び会の実行委員の方々が、各テーブルでEQ的ファシリテーションを
担ってくださったのです。

高野さんのお話を聴いたあと、
「何を感じたか」「何を学んだか」を一人ひとり言葉にする時間をつくりました。
感じたことをグループでシェアし、高野さんへの質問もテーブルごとに対話
しながら発表する——そんな流れです。

ほぼ全員が「初めまして」で出会った方々でしたが、講演から感じたこと
をシェアするだけで、みるみる一体感が生まれていきました。

参加者の方からはこんな言葉をいただきました。
「テーブルごとのグループ共有で、自分とは違う視点の話も聴けて、理解が深まった」
「感じたことや想いをシェアでき、こんなに"腹落ち"する講演会は初めてでした!」

これこそが、EQの力だと思っています。
いい話を聴くだけでは、人は変わりにくい。感じたことを言葉にして、
誰かと共有することで、はじめて自分の中に根づいていく。

そしてその場に居合わせた人たちの間に、自然とチームが生まれるのです。

■20周年の夜に、受け取ったもの

帰り際、高野さんがかけてくださった言葉が、私にとって最高のギフトでした。

「良い仲間に恵まれていますね」

20年間、ずっとそれを目指してきたのかもしれない——
そう思ったら、じんときました。

あらためて、ご講演くださった高野さん、鎌倉までお越しくださった皆さま、
EQファシリテーターとしてご活躍くださった皆さま、そして裏方として
尽力してくれた弊社メンバー&関係者に、心から感謝です。

ありがとうございました、そして
これからもよろしくお願いいたします!


高野さん講演の「笑顔の力」のお話から、皆さんで撮った写真はニコニコ笑顔ポーズで😊

 

「あなたは、誰かの環境だ」——アイズプラス20周年記念講演会(ブログ その1)

2026年4月25日。
アイズプラス創業20周年を記念した「EQ学び会 Vol.8」を、鎌倉で開催しました。

十数年前、DEIをテーマに、200名を超える方々の前で登壇する機会をいただきました。
会場には、ベテランの男性たちが多く集まっていて、正直、とても緊張していたことを覚えています。そんな中、前方の席で、ずっとうなずきながら話を聴いてくださっていた方が一人、それが高野さんでした。

拙い話にもかかわらず、にこやかな表情で「ちゃんと聴いているよ」と伝えてくださるような温かなまなざしに、どれほど救われたことでしょう。もしあの日、
高野さんが会場にいらっしゃらなかったら、私は途中で心が折れて最後まで話し
切れなかったかもしれません。あの時の高野さんの表情は、今でも鮮明に思い出せるほど、私の心に残っています。

そんな高野さんを、自社20周年という特別な節目の場にお迎えできたこと。
それは、私にとって本当に嬉しく、ありがたいご縁でした。

満席でお集まりいただいた会場は、笑いあり、真剣な静寂あり、熱い対話あり。
食事が進むのも忘れるような濃い時間になりました。

今日は、私自身が最も印象に残った気づきを、2回に分けてお届けします。
第1弾は「ホスピタリティ」と「自分という存在」について。


■サービスは標準化できる。ホスピタリティは目の前の”この人”のため
だけに全力を尽くすこと


高野さんが最初に話してくださったのは、サービスとホスピタリティの違いです。
サービスは、いつでも、どこでも、誰にでも公平に提供されるもの。
郵便も、宅配も、飲食店も——お金を払えば誰にでも同じように届く。
それがサービスの本質です。

一方、ホスピタリティは「この人のために、自分の持っているすべての力を出し切る」
こと。
だから本質的に、不公平なのだと。

大阪のリッツ・カールトンのバーで、閉店時間を過ぎても常連客と話し続けたバーテンダーが、帰り際のお客様に言った言葉が忘れられません。
「あなた様がお帰りになる時間が、うちの閉店時間でございます」

高野さんは「その言葉にしびれた」と。もし私も客の一人として
そんな言葉をかけてもらったら、、、
聞きながら、同じように心しびれました。

この話を聞いて、私の中でひとつの確信が生まれました。

ホスピタリティは、デザインできる。

サービスは標準化・マニュアル化できます。でもホスピタリティは、「この人」
を想像する力と、「この瞬間」に動ける判断力と、そして「自分がありたい姿」
から生まれるもの。それはまさに、EQの実践そのもの。

そしてこのイベントの場で、今回のご参加者であり、弊社プロジェクトでも
パートナーとしてご参加くださる小杉先生がシェアしてくださった言葉が、
さらに理解を深めてくれました。

「ホスピタリティは、利他である」
利他。自分のためではなく、顧客(相手)のために考え、動く。
このようなホスピタリティマインド&行動の積み重ねが、
真のチームづくりにつながると感じました。

■「あの人、なんか清々しいよね」ーーー
それ、その人が作り出している環境です

もうひとつ、強く残ったのはこの言葉です。

「自分という存在は、他の人から見たら、環境そのもの」

なんか清々しい人がいますよね。あの人、なんか近づきにくいな、と感じる人もいる。
相談しやすい人もいれば、ものを言いにくい人もいる。

高野さんははっきりおっしゃっていました。
「それは誰でもない、本人が作り出している環境そのものです」 と。

聞いた瞬間、ちょっと怖くなりました。
自分は、どんな環境を出しているんだろう。今日関わったあの人にとって、
私はどんな空気だったんだろう。

環境整備は、自分自身に対してこそ、自分が責任を持つ。
その言葉がズシンときました。

私がここ数年、組織開発の現場で感じてきたことと重なります。
「To Do(何をするか)」ばかりに追われているリーダーと、
「To Be(どういう存在であるか)」を問い続けているリーダーがいるチームでは、
場の空気がまったく違う。

何かをしなければならない、という焦りの中に閉じこもるのではなく、
自分がどういう存在として、どんな環境をまわりにもたらしているか——
そこに目を向けることが、チームビルディングの核心だと、改めて確信しました。

そしてあらためての気づきがもう一つ、
冒頭で紹介した私が汗かきながら講演の場にいた際の
高野さんの「聴いてるよ」という姿勢や眼差しは、そのまま私にとっての
「この人に伝えよう」と思えた環境そのものでした。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
まだまだ気づきがありまして、、、こちらは明日(ブログ その2)に続きます⇒