私たち人材開発の専門家は、これから何を担うのか?
(ブログ内容をAIがイラストにしてくれました。私をかなりかわいく描いてくれてますね、忖度かな)

AIが一人ひとりに必要な学びを見つけ、最適なプログラムを提案し、習熟まで支援してくれるとしたら、私たち人材開発の専門家は、これから何を担うのでしょうか?
研修を企画すること? 教えること? 人の成長を支援すること?
そもそも、これまで当たり前だと思ってきた「人材開発」のあり方そのものを、問い直す時期に来ているのかもしれません。
ATD Asia Pacific Conference 2026、2日目。LenovoのグローバルL&D責任者、Lee Huang Jan氏のセッションは、そんな問いを私に投げかけてくれました。
AIを活用するのではなく、AIを前提に設計する
Lenovoが進めているのは、既存の研修をAIで効率化することではありません。
AIがあることを前提に、人材開発の仕組みそのものをフルリデザインすること。
社員一人ひとりの役割、スキル、上司からのフィードバックなどをAIが分析し、必要な学びを提案する。年に一度研修計画を立て、全員が同じプログラムを受講するのではなく、必要なときに、必要な人へ、必要な学びを届ける。
AIによるシミュレーションやコーチングも活用し、社員の年間学習時間は7時間から13時間へと増加したそうです。「研修を受ける」から「仕事の中で学び続ける」へ。学びのあり方が大きく変わろうとしています。
個の知恵をAIで編み直す「Team AI」
特に私が刺激を受けたのが「Team AI」というアプローチです。
これまで研修プログラムの開発は、担当者それぞれの経験や専門知識、アイデアを持ち寄って進めてきました。最近では個人でAIを活用することも増えていますが、それだけでは個人の知恵の延長にとどまります。
Lenovoでは、複数の担当者の知恵や情報をAIで統合し、チームとしてよりよいプログラムを設計する仕組みを進めているとのこと。
個の知恵をAIで編み直し、選択肢を的確に並べ、学びの習熟と成長を加速させる。これには、人材開発に携わる者として、なんとも心地よい危機感を覚えました。これまで培ってきた経験や専門性も、その活かし方自体を変える必要があるのではないか。そんな刺激を受けたのです。
ROIからROFへ。未来への投資をどう語る?
もう一つ、私の心に残ったのが「ROF(Return on the Future)」という考え方です。
研修の成果を従来のROI(投資対効果)だけで測るのではなく、ROE(社員の能力向上や成長)や、ROF(企業の未来に生み出す価値)という視点から捉える。
例えば、社員の成長が新たな顧客との関係づくりにつながったか。新しい製品やサービスが生まれたか。優秀な人材が集まり、働き続けたいと思える組織になったかどうか。
人材開発への投資は、企業の未来にどんな価値を生み出しているのか?
人材開発の成果を、研修の満足度や受講時間だけでなく、組織の未来に生み出す価値で捉える。これは、現在私がクライアントとともに進めているEQや感情資本経営の導入とも重なります。人と人との信頼が深まったことで、新たな挑戦が生まれる。共感や対話が増えたことで、異なる知恵が結びつく。こうした変化を、経営にとっての価値としてどう可視化していくのか。
ROFは、その可能性を考える一つの視点になると感じました。
一方で、気になることがあります。ROFという考え方は、日本の経営陣にどれだけ響くのでしょうか。ぜひ、私自身も日本企業の経営者の皆さんに問いかけ、対話を重ねてみたいと思いました。
AI時代、人間だからこそ生み出せる価値とは?
人材開発は、研修を提供する仕事から、組織の未来をともにつくる仕事へ。AIが進化すればするほど、私たちは「何ができるか」だけでなく、「何を大切にしたいのか」を問われるようになるのかもしれません。
人の感情や可能性に向き合ってきた私自身も、これまでの経験や専門性をどう活かし直すのか。まだまだ学ぶこと、挑戦することがたくさんありそうです。
なんとも心地よい危機感。そして、それ以上のワクワク。そんな刺激をもらったLenovoのセッションでした。

今回も、会場は台北国際会議中心(TICC / Taipei International Convention Center)、カンファレンス特有かもしれませんが、会議室がとっても寒かった~

台湾ATDは、毎日お弁当付きなのも嬉しい。ポークかチキン、ベジタリアン向けも選べます。みんなでお弁当食べながら、それぞれが感じたことを対話する時間が、とても豊かでした。台湾のお弁当は、野菜も温かくて美味~。














