3年にわたって人事制度構築から風土改革プロジェクトをご一緒している
企業では、昨年から「社長トーク」として社長が人事制度の各テーマを
私と語る動画作成を続けています。
この企業では10年後の自社のビジネスを描き、
現場の社員を巻き込んで社員一人ひとりが「働きがい&いきいき」
とこの会社の事業に向かうことをゴールに掲げてプロジェクトを進めています。
1年目には、徹底的に現場社員の声を聴き MVV*・制度コンセプトをつくり、
2年目には、新制度の各領域の詳細設計を進め、
3年目には、新制度を開示しながら研修やワークショップ実施を通して検証を
進めてきました。
そして3年目からスタートしたのが「社長トーク」です。
私がインタビュアーとなり、新制度においての制度のねらいや特徴、
そして必ず社長自身のエピソードなどを5分以内の動画にまとめています。
先週はすでに♯7の収録を終え、一緒に収録に臨む企画室の皆さんに言われた
言葉が、「池照さん いつもスクリプトにないことを聴いてくるんだもん!
でもそれが良かった!」でした。
”コンピテンシー行動評価”という少し難しさを感じるテーマについて、
「社長自身は自分の仕事の行動指標をどう捉えている?」という
彼自身のことを聴いてみたのです(スクリプトにはなし)。
社長は、「え?」って驚きながらも、ご自身の考えをご自身の言葉で
述べてくださいました。
■究極の素人
これまで多くの経営者の方にインタビューしてきました。
多くは人事制度や人的なしくみを構築する際の打ち合わせやヒアリング、
そして今回のような社内外に向けたインタビューやモデレーターとしてです。
その時に心がけているのが、「究極の素人」としてうかがうことです。
人事やEQの専門家として認知していただき、
このようなインタビュアーの機会を多くいただくことも理解しています。
先方は、一定以上の知識と経験をもった私に、
想定通りにモノゴトを進めてもらえる人として依頼くださいます。
インタビューなどは事前にスクリプトを用意され、
流れや質疑の内容などもその通りに進めればつつがなく進むのです。
もちろん、今回のような社長トークでもスクリプトは用意しています。
ですが、人と人が会って対話が生まれる時、
「予定調和していない」ことからその人の本音や人間性が生まれてくるものです。
これまでの知識と経験を買われているとしたら、
この「予定調和していない」から生まれるものが
人の心を動かすことも、私は経験として知っています。
だから、常に目指すのは謙虚な姿勢で、その人の伝えたいこととその人そのもの
を共有していく「究極の素人」であることを目指してい望んでいます。
自分では言語化が難しかったこのスタンスは、タレントのタモリさんの
記事からピンと来て使わせていただいています→
決して芸がうまいわけじゃない…「究極の素人」タモリがテレビで活躍を続けられる本当の理由 リハーサルと同じことを本番では絶対にやらない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
■知ってくれてるけど知りすぎてない安心感
「究極の素人」を意識するメリットは他にもあります。
私が関わる研修やワークショップ、はたまた長期の組織開発などで
様々な組織の皆さんとプロジェクトをご一緒していきまます。
各企業のビジネスモデル、企業理念、目標、課題などは共有しつつ、
各現場では事前に知っていることをいったん頭から外し、
目の前にいる人の言葉を素直に聞くようにしています。
人事制度づくりのコンサルタントが来た!よりも
一般的な制度作りはしっているけど、この会社のことはほとんど知らない人
として対話を進めることが私自身が心を開いて向き合うことにつながります。
予定調和させない「問い」の積み重ねが、
自分も相手も心を開くと実感しています。
先日、研修を実施した企業の方からは、
「会社のことは知っててくれてるはずだけど、
現場のことは知らない姿勢でチームと関わってもらって安心感があった」
というコメントがあり、事前に経営陣からうかがった課題感とはまた別の課題設定に
つながったものです。
目指すは究極の素人。
これからも目の前の人と真摯に向き合い、
予定調和なしの対話から「相手」の真意や人間性にせまって参ります。
動画は5分以内にまとめ、
国内外の事業所で見ていただけるようにしています。
もうちょっと閲覧数を伸ばしたいなぁーっと摸索しています