日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)

Is'+の視点による人事、キャリア、その他もろもろについての徒然 ver.1

仕事のやりがいの話

「やりがいのある仕事が見つけられない」という相談を受けました。

やりたいことに近いが、金銭的な報酬が少ない仕事に就く予定なこの方は、
周囲からの「そんなやりがいのない仕事辞めれば?」に悩んでいます。

「あなたにとっては「仕事のやりがい」って何を指しますか?」
この問いに、しばらく沈黙が続いたあと、彼女からは
「そういえばなんだっけ?お金じゃななかったな・・」という一言。

「仕事のやりがい」ってなんだろう?
今日はこのテーマで話を進めましょう。

■「仕事のやりがい」とは何か?

調査によると、「仕事においてやりがいは必要ですか?」との問いに、
96%の人は必要だと思うと答えます。

 

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「仕事においてやりがいは必要か」アンケート エン・ジャパン2018

ところが、この「仕事のやりがい」は年々減少傾向にあることも事実です。

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仕事の満足度調査 内閣府2005

 「仕事のやりがい」が必要と感じている人が96%いる現状で、
「仕事のやりがい」は減少している、これはなぜでしょうか?

そもそも、「仕事のやりがい」とは何を指すのでしょうか?

「やりがい」を広辞苑で調べると、
「そのことをするだけの価値と、それに伴う気持ちの張り」
という定義がでてきます。
これを「仕事のやりがい」として定義し直せば、
「本人が仕事(社会)との関係性を通して得る評価、報酬、成長実感など
の手ごたえや張り合いのこと」になります。

仕事のやりがいが年々減少している原因はいくつかあると思われますが、
私はその一つは、「仕事のやりがい」が何であるのか自分自身で定義できない
ことだと捉えています。

1980年代前半まで、仕事の価値観は「給与」「社会的ステータス」
などが同質的に語られるものでした。仕事のやりがいも、
・給与があがること、
・ポジション(社会的ステータス)が上がること、などが
多くの方の「仕事の価値観」でした。
それが、
ちょうど1990年頃からは価値観がどんどん多様になってきます。
ちょうど私が専門とするEQ(感情知性)が生まれたのもこの頃ですね。

つまり、それまで同質的・画一的に語られていた「仕事のやりがい」が
全員一緒にはならなくなってきたのです。
それまで多くの人にあてはまった「均質的なやりがい」は、
価値感や働く状況の変化によって一人ひとりが違う「多様なやりがい」
に変わっていきます。


■「仕事のやりがい」には2種ある

キャリア関連のセミナーで聞きました。
とても頑張ってやり遂げた仕事に、
あなたはどんな「仕事のやりがい」を感じますか?

・仕事に見合う、またはそれ以上の報酬
・「ありがとう!」というお客様からの感謝
・仕事終わりの打ち上げと称して上司がご馳走してくれる焼肉
・「この仕事楽しかったねー」という同僚の笑顔
・目標を達成したという満足感と成長実感 ・・・

などなど、あなただったらいかがでしょうか?
人によっても「何をもって”やりがい”と感じるか?」はそれぞれです。

「仕事のやりがい」には外的なものと内的なものの大きく2種類があります。

外的なやりがいは、
 ・会社や役職のステータス
 ・給与や正社員かなどの雇用ステータス
 ・仕事場所や通勤時間 
など、客観的側面のもの 

内的なやりがいは、
 ・自分の存在価値を感じる出来事や声掛け
 ・成長している実感
 ・楽しいと思える人間関係や職場の雰囲気
など主観的側面のもの 

がそれぞれ当てはまります。
どちらいい、悪いということはありません。
この「やりがい」の定義は時代とともに変化しています。
1980年代前半までは「外的なやりがい」が主流だったものが、
時代の流れ、世の中全体の価値観の多様化や流動化から、
「内的なやりがい」が出てきたのです。

これはまた、個人の中でも状況や年齢によっても変化します。
時々時間をとって、自分自身にとって何が
「仕事のやりがい=手ごたえ、張り合い」に
つながっているかを自分で見出すことで言語化につながります。

何が自分の「仕事のやりがい」をつくっているか、
これは誰かが作るものでなく、自分で見出すものなのです。


■「仕事のやりがい」を持ち続けるには?
 
もし、ご自身で「仕事のやりがい」をみつけたいと思ったら、
ぜひ以下の3つを自分に問いてみてください
1) 「仕事のやりがい」と聴いてどんな言葉を思い浮かべますか?
   リストしてください。
2) どんなことが起こったら「仕事のやりがい」が高まったといえますか?
   自分から起こすことだけでなく、会社が買収されればいいなどの受動的
   な事でもOKです。なぜそう思いますか?
3) では、あなたにとって「仕事のやりがい」とは?
   どんな「やりがい」に気持ちが高まりますか?

これを、ご自身と向き合う時間を取って見出してみて下さい。
弊社のワークに出た方は、EQや他のワークと組み合わせて見出しますが、
まずは上記のような質問を自分で問うとことからスタートすると良いでしょう。

「仕事のやりがい」は見つけるだけでなく、それを
維持し続けることも大切で、ここには自らの関与や努力も必要です。

このコロナ禍で「仕事のやりがい」が変化し、
・満員電車での通勤を減らして郊外で生活すること、
・リモートワークを活用して家族との時間を創ること、
・東京から離れ、自然の多い場所で地元に根差した仕事をすること
などを掲げる人も増えています。

変化する「仕事のやりがい」は、自分自身が何を感じ、自分自身の
気持ちを知ることも有効です。
自分自身の「やりがい」を継続させていくためには、
自分の気持ちを知り、「仕事のやりがい」を主観的に言語化してみる。
こんな時間をとることが、日本の「仕事のやりがい」を高めると、
心からそう思うのです。

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不安的な梅雨の天気の合間、鎌倉の空に大きな二重虹が出ました! 🌈



 

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