■してあげてるのは、なんのため?
「部下を褒めてあげてるのに、
あんまり感謝ってされないんですよ」
8/8の日経ビジネススクールにご参加いただいた
女性のリーダーの方からうかがった一言です。
同じような話は、先日現在コーチングを
担当している部長さんからもありました。
「コーチングって毎日しているつもりですが、
感謝はされないですよね・・・」
せっかく○○してあげてるのに、感謝のひとつもない!
会社などの組織でなくても、
家庭で子育てしていてもよく聞く話ですね。
実は私もそう思ってましたし、
そう言ってもいました。
「こんなに褒めてるのに、感謝ひとつしない」って。
「褒めている」のは相手になにか気づき、
結果的には行動を変えてほしいですね。
気付いてもっと細かいレポートを書いて欲しい、
(⇒だから「レポートのここ素晴らしいよ」とまず褒める)
お客さんの目を見てプレゼンしてほしい、
(⇒だから「まっすぐ向いたときの目がよかったよ」とほ褒める)
褒めた先に、何かしら目的達成に向けたプラスの行動が
行われると期待するからです。
そしてその期待に応えてもらえば、部下にとって
良い結果になると思うから、だから私たちは一所懸命
褒めるのです。彼、彼女のことを想って。
ですが、
私たちが想って「こうあって欲しい」と描いた行動は、
実はまだどれも私たち(褒める側)からしか描かれていません。
部下(褒められる側)は、まだその”こうあって欲しい
場面”は描かれていないのです。
つまり、ちょっと乱暴な見方をすれば、こうあって欲しい姿は
まだ私たちだけが勝手に描いている姿の可能性があります。
もし、褒めること自体が目的になっているなら、
どんどん褒めてそれで終わりでいいでしょう。
もし、”こうあって欲しい姿”に一緒に向かいたので
あれば、彼・彼女らが自分から”到達したい姿”を
重ね合わせておいた方よいですね。彼らがいきたい
場所に向かう一歩につながれば、それは感謝に値します。
「褒めてあげて」も感謝されないのは当たり前
かもしれません。だって相手はそこに行きたいと
思っていないのですから。
「○○してあげる」という気持ちがどこかにある以上、
それはどうしても上位者から下位者への押し付けになって
いないか、次回をこめて見直す必要がありそうです。
逆に、
自分が描くありたい姿に一歩でも近づいてくれたなら、
それは私たちが「同じ世界を共有できることの喜び」を
表した方がよいのではと思います。
それは私たちからの「ありがとう」「感謝」を
つたえることにつながるのではないでしょうか?
■上司だから褒める?
そもそもこの「褒める」という行為は、上司という立場が上
の人から部下などの立場が低い人に向けての発信に
限定されるのでしょうか?
「社員は褒めてあげなきゃ」という言葉には、
上司は社員よりも立場だけでなく、知識や経験、人間性まで
も上というニュアンスを感じざるを得ません。
一方、
「一人ひとりが立派な社会人だよ」と位置付ける
リーダーの方もいらっしゃいます。
以前にこのブログでも紹介した
「ピグマリオン効果」の考え方などを実践する
リーダーなどはこれにあたるでしょう。
上司ー部下は、組織内の役割の大きさの違いであり、
部下はすでに立派な社会人、そして各担当分野においては
私たちよりもその現場に詳しいエキスパートなのです。
もちろん、プロジェクトを一緒にやるにおいて、
そして彼らを育成していくためには、意図的な育成の中で
「認める」や「受容する」はとても有用な行動です。
ですが、それはあくまで部下としてよりも一人の人間
として尊敬の念をもって接しているかがカギとなります。
人は皆、自分がどのように扱われているかは感じ取るものです。
「育ててあげてる」意識での誉め言葉なら必要ありません。
それよりも相手の表情、様子、ちょとした言葉の
変化を観察し、一つひとつを「認める」声かけが相手の
心に響きます。少なくとも、その方が私には嬉しい一言です。
そう考えると、「褒める」は上司だけからとは限りません。
どんな方でもその人を「認めよう」という気持ちがあれば
ちょっとほめる、認めるは誰でもできるものになります。
「認める」があってさらに気持ちを加える「褒める」がある、
「認める」のない「褒める」は言葉だけになりがちです。
■褒めるのは立場が上の人だけか?
辞書によると、
褒める:
相手の良い行いや物事を高く評価する
個人から個人に
目上にはつかわない
誉める:
受賞など、偉業を成し遂げたことをたたえること
周囲から個人に対して
目上の人にもつかえる
という定義のちがいがあるそうです。
そう考えたら、字の違いがありますが「ほめること」は
何も上司から部下への専売ではありません。
部下から上司に対しても、「誉める」ことはできるのです。
共通するのは、部下であれ上司であれ誰であれ、
相手に尊敬と敬意をもって人間として接しているか
という「心」の視点です。
私を一人の人として扱って下さる上司は、お世辞にも
語彙力豊富な褒め上手とは言えない方でした。
でも、下手な褒め言葉より彼の「うん、いいね」と笑顔が
私の数々の行動を後押ししてくださっていた気がします。
・相手を尊敬の姿勢をもつこと
・「認める」>「褒める」をもつこと
・自分と同じ世界を共有できたら、
それはこちらから「ありがとう」
なにかしてあげようと思えば見返りも欲しくなりますが、
自分が心から誰かの言動の感動できれば、それを素直に
相手に伝えたくなるものです。
本当の意味の「ほめる」は、自分自身の心が動いた
時の相手への共感の言葉になる、そう確信できる
ステキなお話でした。
気付かせてくださったお二人の
素直な言葉にあらためて感謝です。
★写真掲載にはご許可をいただいています↓
・・・・・
アイズプラスからのご案内など
■ EQ関連のインタビュー記事
【EQ仲間に聴きに行こう! ランスタッド株式会社編】
EQ(感情知性)プログラムを全管理職に導入した
ランスタッド株式会社では、社員のみならず事務局の篠原さんにも
大きな変化がありました! 池照によるEQ仲間へのインタビュー
第二弾です!
■
ステキヲツクル2019 【野林徳行+池照佳代(モデレーター)】第一回目@鎌倉 | Peatix
今年もやりますアイズプラス池照が企画する
「聴きたい人に聴いちゃおう」企画です。
リクルートのゼクシィやローソンのミッフィー、リラックマなどの
企画を手掛けた世界のステキを作るステキプロデューサーであり、
マーケティングの神様、のばさんこと野林徳行氏による2回連続
セッションです。
ぜひ、お越し下さい♪
■ 日経ビジネススクール
【女性リーダーのための「周囲を巻きこむ」コミュニケーションスキル 10/25 】
お陰様で毎回満席状態の人気講座となっています。
周囲を効果的に巻き込み、成果につなげるための
EQ(感情知性)のいかしかたを学びます。
事前にEQI(行動特性検査)をご受検いただき、当日はご自身の
行動傾向が把握できるようになっています。様々な立場で
活躍する女性リーダーとのネットワーキングも好評です。
年内最後となります!
8/8実施の同セミナーについて、アイズプラスのコーディネーター、
そしてEQプロファイラーでもある福島のレポートです
⇒ 日経セミナー0808_レポート.pdf - Google ドライブ